会議も予定の共有も、汎用の機能だ。Teams の打ち合わせも、カレンダーの共有も、すでに OSS で共有されている。前章でメールを自分の側に戻した。ここでは二つを立て、 2-02 で AI に渡した一台と、自分のドメインの上に置く。
- ビデオ会議 ── Jitsi Meet(Teams・Zoom の代わり)
- 予定の共有 ── Radicale(CalDAV。Outlook・Google カレンダーの共有の代わり)
予約の受付(Calendly・Microsoft Bookings の代わり)は、この章では立てない。自前で立てられる OSS が無くなったので、2-12 で FastAPI の小さなアプリとして書く。この章の Jitsi とカレンダーとメール(2-08)の上に、そのまま乗る。
会議は Jitsi Meet で立てる
会議は Jitsi Meet である。参加者はブラウザだけでよい。アプリのインストールも、アカウントも要らない。リンクを送れば会議が始まる。挙手、ブレイクアウト、ホワイトボード、録画、画面共有が標準で揃う。
Jitsi は公式の apt リポジトリで入る(Debian 12 以上)。2-02 の決めどおり、Docker は使わない。決めは三つだ。
- 外に開ける口は、映像の 10000/UDP と、その予備の 5349/TCP。この章で初めて開けるので、「やる前に言う」操作だ(2-02)
- Web の入口は Caddy が受け続ける(443)。Jitsi の導入は nginx を設定するが、2-02 の一台では nginx を localhost で待たせ、Caddy から渡す。設定は AI が書く
- 会議を開けるのは、認証した人だけにする。開くのは自分、入るのはリンクを持つ人
# 公式の apt リポジトリを登録したあと
sudo apt install jitsi-meet # web・prosody・jicofo・jvb が systemd で動く
meet.example.com を、自分のロゴと自分のドメインで配れる。
大人数の会議は、映像中継(JVB)を増設して捌く。これは「立てる」より「足す」── 規模に応じてサーバを並べる作業だ。
本格的な授業(出席の記録、LMS との連携)が要るなら BigBlueButton だが、Ubuntu の専用機が要り、2-02 の一台には載らない。講座の期間だけ別の一台を立てて、終わったら畳む(2-01)。多くの講座は、Jitsi で足りる。
予定は Radicale で共有する
予定の共有は CalDAV である。軽量な Radicale を一つ立てれば、Thunderbird とつながる。スマホは、iPhone の標準カレンダーが CalDAV を話す。Android は DAVx⁵ のようなアプリを一つ入れる。Radicale は Debian 13 の apt にある。
sudo apt install radicale # systemd で動く。待ち受けは localhost
meet.example.com { reverse_proxy localhost:8443 } # Jitsi の nginx
cal.example.com { reverse_proxy localhost:5232 } # Radicale
Radicale のログインは Radicale が持つ(2-05)。アカウントの名前は門番と揃える。
移行は、未来の予定だけでいい
Teams や Google カレンダーからの移行に、プロジェクトは要らない。会議のリンクは使い捨てで、移すものが無い。カレンダーは未来の予定だけを .ics で書き出して Radicale に読み込む。一度きりの操作だ。過去の録画やチャットに残す価値のあるものは、2-15 の情報の整備で棚卸しして、ファイルとして 2-07 の置き場に入れる。
確かめ方
この章は、次の四つができていれば済みだ。
- 別の PC のブラウザから
meet.example.comの会議に入れる。アプリもアカウントも要らない - 二人以上で入って、映像・音声・画面共有が通る
- Thunderbird とスマホのカレンダーが、CalDAV で同じ予定を表示し、片方で入れた予定がもう片方に出る
- 外から見て、開いている口が 80・443・ssh・25/465/587/993(2-08)・10000/UDP・5349/TCP だけになっている
systemctl status jitsi-videobridge2 prosody jicofo radicale # systemd で動いているか
curl -sI https://meet.example.com | head -1 # 会議の頁が返る
人が持つ物
人が渡す値
- 会議とカレンダーのドメイン名(
meet.example.com・cal.example.com) - その名前を指す DNS の設定
- 会議を開ける人の一覧(Jitsi の認証)
- 移す未来の予定の .ics
AI が「やる前に言う」操作
- 10000/UDP と 5349/TCP の口を開ける
- DNS のレコードを変える
- 既に入っている予定のデータを消す
- 会議の録画を、外から見える場所に置く
確かめた版と日付
- Jitsi Meet(公式の apt リポジトリ
download.jitsi.orgの安定版)、Radicale 3.5(Debian 13 のパッケージ)、Caddy - 手順を書いたのは 2026-07-11、書き直したのは 2026-10-05
- 版が上がっていたら、AI に公式の手順を確かめさせてから進める
まとめ
会議も予定も、自分のドメインで。
- Jitsi Meet ── ブラウザだけの会議、Teams・Zoom の代わり。公式の apt で、Caddy の後ろに
- Radicale ── CalDAV で予定を共有。Thunderbird と iPhone はそのまま、Android はアプリを一つ
- 予約は 2-12 で書く ── 立てられる OSS が無くなったので、FastAPI の小さなアプリにする
- BigBlueButton は別の一台 ── 本格的な授業のときだけ、講座の期間だけ立てて畳む
ここまでで、土台・門番・コード・文書・メール・会議・カレンダーが揃った。次章では、これらを社外に見せる Web サイトを作る。